スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

そういうことなんだ。

”うまく言えた!後は彼の出方を見るだけ”

それがあたしのその時の中で一番強い気持ちだった。そして運転をしている彼の顔をじっくりみていた。どんな変化も見逃さないように。

”やっぱり・・・。”

ほんの2、3秒の出来事だった。一瞬にして彼の空気が変わり、前を見て運転する彼の目の奥に動揺がみえた。返事を聞かなくても、その顔を見ただけで確信をついた気持ちになった。呼吸を気をつけてしないと苦しくて苦しくてたまらなかった。
それでも嫌な雰囲気は出さずに心がけた。

少しの間をおいて、突然彼が言葉を発した。

「いや、住んでいない。」

”はい?”

「住んでない、事務所としているんだ。税金対策の為に。」

予想外の言葉にビックリした。なんて応えたらいいのか戸惑った。

「あ、そぅそうなんだ!ふーん、事務所として使っているんだぁ・・」 ”なんでそんな事いうのさ・・。”

「うまく調整しないとなんだ」

「そうなんだぁ、いつから引っ越したの?」

「今年の4月ごろかな」

「ふーん。」

彼は口元に手を置いて落ち着きが無い。運転しながらでなければ上手く逃れたかもしれないが、今だったから吐いた気がした。
それにしてもお互いに分かりやすいよね。

あたしは離れてからの3年間、何度か彼に何かを言わせるタイミングを作ってきた。そして彼は無視してきた。

今回の件は嘘じゃないにしろ、あたしが言った事は大きく外れてはいないはずだ。引っ越したのだってまだ半年くらいだ。わからない、何かが計画的な気がする。
そう思うと余計に吐き気がした。何かが起ころうとしている?いや、起こった後なのかもしれない。わからない。

引っ越した後には必ず女が家に出入りしているはずだから、やっぱり今も家で帰りを待っているのか?なんなんだ?どうなのよ。どんな相手なんだ、お金持っている子に違いない。あぁ、そうか入院していた時に知り合ったとか?いやいや、前からの知り合い?元彼女?自然に運命的に出会った?
嫌な妄想がぐるぐるまわって、どうしても相手の人を批判したくなってしまう自分にも嫌気がした。顔もしらないし、何も知らないくせにね。

そして何でこの男はあたしに隠そうとする。あたしがおかしくなっちゃうのを恐れているのか?何かを壊したくないと思っているのか?

さっきまでの緊張もなくなり、今となっては背筋に青い炎のようなものを感じている。

その後の彼との会話はお互いが上ずったような、ちぐはぐな感じだった。
居てもたってもいられなくて、彼の最寄駅で事件があった話に切り替えた。ただその中でもあたしは少し言い方を濁させ、二つの聞き方をした。彼の家か?事件の家か?
その結果彼の家は駅近であることが判明した。
もう十分だと心の中で思った。聞きたいことは聞けたでしょ。

”これ以上はもう聞きたくない。もういいや、あなたが言うなら、そう言うことなんだね。”

その後のドライブは本当に頭がボーっとしていた。
相変わらず月が綺麗で、窓の外をみると涙が出てきた。でも彼に気づかれないようにすぐに拭った。



~ 長い、長い2人の旅がもうすぐ終わろうとしている ~
スポンサーサイト

緊急事態発生。

高速の出口の話になって、彼がまだ実家にいるのだと思った。
彼は3年前とは変わらずに実家を拠点にしているのかな。大した話じゃないはずだった。でも何か胸騒ぎがした。
”本当にそうなのか?絶対に聞いたほうがいい気がする・・なんだろう、こわい。”

さり気ない雰囲気であたしは言った。
「あれ?その駅って事はまだ実家に住んでるんだ?」
すぐさま彼は言った。
「いや、住んでないよ。」

その言葉を聞いた瞬間に吐き気がした。
”あぁ。そうか、そうなんだ”頭を殴られたように自分自身がどうなっているのか分からず、意識がもうろうとした。いろんな事が頭の中を駆け巡って息が出来なくなりそうになった。
一瞬にしてその場の空気をあたしは変えたに違いない。
それでも正常にはいられなくて、心臓の音は今にも彼に聞かれてしまいそうなくらい激しく音をたてた。

彼の実家は駅からそんなに遠くはないのに、同じ駅に家を借りる必要なんて無い。
ましてや彼は外で作業する事が多いのだから、実家だっていいはずだ。お金だって沢山あるわけじゃないだろうし。もしあったなら作品に使うだろうし、アーティストはそういうものだと思っていた。
とは言え、30過ぎの男の人だし1人で暮らすのは自然な事だろう。ましてや彼は車も買ったし、収入に関しては3年前とは明らかに違うのだろう。そう思えば彼が家を借りて住んでいる事は何も違和感はないものだった。

深く考えすぎかな?いや、そうじゃない絶対違う。
彼の近くには90%以上の確立で深い仲の女がいる。

彼女じゃなくても絶対に誰かしら女の人が出入りをしているはずだ。そう思うと、さっきS・Aで電話をしていたのもその人か?渋滞で遅くなると連絡をいれたのだろうか?もうろうとした意識の中で、気持ちを整理しながら考えていた。

確信を得るためにこの先を聞くべきか、このまま知らない方が幸せなのか。

あたしの性格ならば、聞かなければ気がすまない。
でもこれだけは究極過ぎて判断できなかった。だって本当に住んでいると聞いた瞬間に、あたしは普通ではいられない。
もう一緒に帰れない、どうしたらいいかわからないとパニックになって高速から飛び降りてしまうかもしれない。いや、普通に笑って流せる気持ちになるかもしれない。反対に怒って責めたてるかもしれない。それか何も言わず泣き出してしまうかもしれない。自分でも”その時”にならないと分からなかった。果たしてその大きな賭けをする勇気が今の自分にあるのだろうか。


考えた末、やはり彼に聞く決意をした。
決意は出来てもいざとなると言えない。そして今まで以上に言葉やトーンに気をつけなきゃいけない。
変に低すぎても警戒するだろうし、明るすぎても返事がきた後にその明るさを保つ事は苦しくなる。
聞いた後の事や、彼の事を考えているとなかなか声が出なかった。
それこそ裏返ってしまいそうなくらい緊張していた。
ずっとソワソワして無言でいるので、彼もどうかしたかな?と思ったかもしれないが、その理由は大した事ではない”どうせ今度遊びに行かせてよなんていうのか?”なんて。


20分くらい経ってようやく準備が出来た。この一言でこの場の雰囲気も変わるし、自分の未来にも影響があるだろう。頑張れ、頑張るしかない!何があっても受け止める心を、強さを今のあたしにください。


~ 運命の瞬間が訪れる ~



「彼女と住んでんの?」
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。