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~たった1人の人に出会って~

後ろは振り向かなかった。そのまま家へと帰る中で、油断すれば大泣きしてしまうところだった。
何に対して自分が泣くのかも分からない。
もう彼に対して流す涙はないはずだ。
強くいなきゃ、強くいなきゃ。
苦しくて苦しくて、でも寝ればやはり夢だったようにも思えた。
それだけ2人の距離は遠いものになっている証拠だった。
どんなに頑張っても、信じていても、戻れないものなんだと。
あたしの全ては彼だったとしても。

運命とはそう言うものなんでしょう。
あたし達がめぐり合った事も運命、離れる事もまた運命。

この世に生を受けている全てのものに運命はあって、それは交じり合い複雑に絡み合っている。
それは誰かが決めるわけでもなく、自分が決めるときもあって、でも誰かに操られていたのかもと思う時もあったり。


あたしは彼に出会えて本当に幸せだった。
彼と過ごし、彼に愛されて、このままずっと居られたらと強く願った。
彼がいれば自分の人生がもっと楽しいだろうと感じたし、彼にとって自分もそうありたいと感じた。
でも自分が彼に相応しい女であるのか疑問に思った。
彼に愛される自分でいられる自信が揺らいでしまった。
彼に嫌われるのが、振られるのが怖かった。
突然彼を失う恐怖を思うと、傷が深くならないうちにはなれていたくなった。
彼がいない景色は、全てが灰色のようだった。
朝が来るのが怖かった。現実を受け止める事が出来なかった。
自分の思いは時が解決するはずがないと強く思った。
そしてその思いは彼に対しても同じだった。
彼が作品に対して一生懸命である姿を望み応援していたかった。
いつでも彼の事を一番思っているのは自分だと思っていた。
彼を思うことで自分を殺してしまっていた。
分かっていてもその鎖を解く事ができないでいた。
何度も鎖を外すチャンスはあったが、ずっと逃げていた。
いや、その時が来るのを待っていたのかもしれない。
やはり”時”が解決した事になるのだろう。
無駄な事は何もないから。

たった一人の人に会えた自分は幸せか?
その一人によっていろんな経験や時を過ごし、より一層自分の人生の色が濃くなった。


たった一人の人に出会えてこんな経験が出来たあたしは、確かに幸せなんだ!!本当に心からそう感じる。


お互いの進むべき道へ。

道


~ 終わり ~

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テーマ : 伝えたいこと - ジャンル : 日記

最後の会話。

”ねぇ、なんでそんな目で見てるの?”

あたしから別れの言葉を発するべきなのか。とにかくその間合いはどちらかが切り離さなければいけない。
車の中にある荷物を持ち上げる事が出来ないまま、あたしは”くまさん。”の顔を見て目をはそらしてしまった。すると予想外にも彼が口を開いた。

「これだよ。今回使った作品に使ったやつ。」
後部座席のドアから、丸い業務用のような大きめなビニール筒を触りながら言った。

「えっ!?あぁ、そうなんだ!」

あたしは荷物を持たずに、彼の側へ回ってそれを触った。
彼との距離がまた近くなった。
何で今更そんなことを言ってるのか不思議だったけれど、一分一秒でも一緒にいられる時間が増えて嬉しかった。やっぱり大好きだから。

それでも、そんな会話はすぐに終わる。もう帰らなきゃいけない。
もし何も感じていなければあたしの性格上、その時彼に話したかもしれない。
”部屋に行っちゃダメ?”

でも、その言葉を言う必要も無かった。もし行ったら誰かいるのかもしれない。
食器や小物が女の子ものがあったり、写真があったりするんじゃないか。
そう思うと、部屋に行こうなどと一瞬でも考えた自分が情けなくなった。
もし何かなくても、彼がこの状況の中で自分の部屋に誘うことなどありえない。
その道はどっちみち無いものなんだろう。

それでも往生際の悪いあたしは最後にあがいた。
「いつでもいいからさ、引っ越す前にご飯食べに行かない?」

聞こえているのに聞かないふりをしている彼。
あたしはもう一度、さっきより大きな言った。

「ねぇ、聞いてるの?引っ越す前にご飯行こうよ?ダメ?」

彼はこっちを見た。その顔を見たらもうどうにもならない気持ちになった。
確か前にこの目、この顔を見たことがある。
ふっ、っと下を向いて苦笑するしかなった。これはどんな時にした顔か・・・頭の中の記憶を探った。

無理やり無表情を作っている。自分の心が読まれないように。
とにかく彼は分かりやすい人間だからある意味良かった。


彼は返事をしないままずっとこっちを見ていた。長い沈黙の後、彼が顔を緩めて言った。

「引っ越すのだっていつだかわからないし。まだ全然決めてないんだ」

「ふーん、いいよ。いつになっても良いから引っ越す前にご飯行こうよ。来年でも何でもいいよ」

彼はもう何も言えなかったんだろう。
これ以上自分も、目の前にいる何も知らないあたしも、お互いに辛くなる会話はしない方がいいと。嘘はついていない。嘘はついてないから。


結局彼はその返事をしなかった。
運転席に乗って、こっちを見ている。
あたしもこれ以上は言わなかった。ただ、右手を彼に差し出した。
その瞬間に彼が少し笑って、同じように右手を差し出してくれた。それまでの空気が変わった。


あたし達は握手をして笑顔で別れた。
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