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そういうことなんだ。

”うまく言えた!後は彼の出方を見るだけ”

それがあたしのその時の中で一番強い気持ちだった。そして運転をしている彼の顔をじっくりみていた。どんな変化も見逃さないように。

”やっぱり・・・。”

ほんの2、3秒の出来事だった。一瞬にして彼の空気が変わり、前を見て運転する彼の目の奥に動揺がみえた。返事を聞かなくても、その顔を見ただけで確信をついた気持ちになった。呼吸を気をつけてしないと苦しくて苦しくてたまらなかった。
それでも嫌な雰囲気は出さずに心がけた。

少しの間をおいて、突然彼が言葉を発した。

「いや、住んでいない。」

”はい?”

「住んでない、事務所としているんだ。税金対策の為に。」

予想外の言葉にビックリした。なんて応えたらいいのか戸惑った。

「あ、そぅそうなんだ!ふーん、事務所として使っているんだぁ・・」 ”なんでそんな事いうのさ・・。”

「うまく調整しないとなんだ」

「そうなんだぁ、いつから引っ越したの?」

「今年の4月ごろかな」

「ふーん。」

彼は口元に手を置いて落ち着きが無い。運転しながらでなければ上手く逃れたかもしれないが、今だったから吐いた気がした。
それにしてもお互いに分かりやすいよね。

あたしは離れてからの3年間、何度か彼に何かを言わせるタイミングを作ってきた。そして彼は無視してきた。

今回の件は嘘じゃないにしろ、あたしが言った事は大きく外れてはいないはずだ。引っ越したのだってまだ半年くらいだ。わからない、何かが計画的な気がする。
そう思うと余計に吐き気がした。何かが起ころうとしている?いや、起こった後なのかもしれない。わからない。

引っ越した後には必ず女が家に出入りしているはずだから、やっぱり今も家で帰りを待っているのか?なんなんだ?どうなのよ。どんな相手なんだ、お金持っている子に違いない。あぁ、そうか入院していた時に知り合ったとか?いやいや、前からの知り合い?元彼女?自然に運命的に出会った?
嫌な妄想がぐるぐるまわって、どうしても相手の人を批判したくなってしまう自分にも嫌気がした。顔もしらないし、何も知らないくせにね。

そして何でこの男はあたしに隠そうとする。あたしがおかしくなっちゃうのを恐れているのか?何かを壊したくないと思っているのか?

さっきまでの緊張もなくなり、今となっては背筋に青い炎のようなものを感じている。

その後の彼との会話はお互いが上ずったような、ちぐはぐな感じだった。
居てもたってもいられなくて、彼の最寄駅で事件があった話に切り替えた。ただその中でもあたしは少し言い方を濁させ、二つの聞き方をした。彼の家か?事件の家か?
その結果彼の家は駅近であることが判明した。
もう十分だと心の中で思った。聞きたいことは聞けたでしょ。

”これ以上はもう聞きたくない。もういいや、あなたが言うなら、そう言うことなんだね。”

その後のドライブは本当に頭がボーっとしていた。
相変わらず月が綺麗で、窓の外をみると涙が出てきた。でも彼に気づかれないようにすぐに拭った。



~ 長い、長い2人の旅がもうすぐ終わろうとしている ~
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